【GNSS(GPS)を活用した高生産性農業の支援】
 GNSS(GPS)を活用した高生産性農業の支援として、次の取り組みを実施しています。

○ GPSを活用して、圃場の高低差をマップ化することで、水田の均平作業の効率化を図る。
○ 圃場の窪みや起伏を把握し、基盤修正作業などを容易にする仕組みを構築する。

 また、ここ数年で急速に導入が進んでいるGPSガイダンス(農作業用のカーナビ)の利用効果等の検討も行っています。
 これまでの実施内容は、次のとおりです。

○ 水田圃場で、高精度GPSを利用して、圃場高低計測を実施し、圃場均平作業等の参考にしてもらう。
○ 代かき作業時等にGPSガイダンスを利用してもらい、その効果を実感してもらう。
○ 圃場高低計測結果から、起伏修正等を検討する。

 これらの実施結果をふまえ、地域農業におけるGPS活用の支援について検討します。

【北海道内のGPSガイダンス導入状況】

 ここ数年、農業分野でのGPS利用は、実際の農作業利用へと普及しています。
 GPSガイダンスシステムは、農作業の経路を示すガイダンスシステム(農作業用のカーナビ)の導入が、急速に進んでいます。北海道内には、平成20年から23年までの3年間で、1,500台程度出荷されています。

(北海道農政部技術普及課調べ)

● GPSガイダンスシステムの活用
 GPSガイダンスシステムは、農作業機械の作業幅に合わせて、作業経路を誘導するものです。
 GPSガイダンスを利用して、代かき作業を実施しました。水面で作業経路の目標を見失う場合でも、モニターには作業経路とトラクタ位置のずれ具合が表示されるので、画面とライトバーを見ながらハンドルを操作すると、等間隔の直進走行が容易にでき、今回の試験的な利用でも実感されました。大区画圃場では、より効果を発揮することが期待できます。








運転席の正面にガイダンスを設置しました。 ガイダンス画面の走行軌跡
ガイダンス画面の走行経路と作業軌跡 等間隔でまっすぐに走行できたので、仕上がりは上々です。
GPSガイダンスでは、作業状況の位置情報がGPSデータとして記録されます。
パソコンにデータを取り込むと、作業速度マップなどを簡単に作成することができます。
走行経路をリプレイとして再生することが可能です。
(注:今回は走行幅を作業幅として設定したので、塗りつぶされていない部分があります。)

● 高精度GPS(GNSS)の活用
 高精度GPSを使用すると、水平精度は2〜3cm程度、鉛直精度は5cm程度と言われています。これだけの精度が確保されると、GPSの活用範囲が広がります。
 水田では、均一な生育を確保するために、圃場の均平度の維持が重要です。高精度GPSを利用して、耕起作業前の水田の高低計測を実施しました。
 トラクタのキャビン天井にGPSアンテナを設置して、キャビン内にはGPS受信機とノートパソコンを持ち込みました。面積67aの水田の計測時間は、約20分です。
 高低計測結果のマップでは、高低差は±3cm程度で、白い部分が多いので、均平精度が良いことがわかります。
 このように、圃場の高低差が計測後すぐにわかると、その後の均平作業、代かき作業等に便利です。
VRS方式RTK-GPSによる地形計測システムのイメージ
キャビン天井にGPSのアンテナを付けて、圃場内を走行します。
計測後すぐに高低マップを作成できます。