畑地かんがい
畑地かんがい施設の効果
畑地かんがいとは
かんがい(灌漑)とは、人工的に畑や水田に水を供給することです。畑に水を供給することを『畑地かんがい』といいます。
北海道には、畑地かんがい用の施設として、ダム、用水路、ファームポンド、ほ場内施設が整備されている地域があります。
畑の作物に水をかけることをかん水(散水)といいます。カラカラ天気で畑の水分が不足するときにかん水をします。
かん水の方法には、スプリンクラー、多孔管(散水チューブ)などがありますが、大型ほ場では自動で大面積をかん水することができるリールマシン(自走式スプリンクラー)を使用します。

畑地かんがいがキャベツを救う - カラカラ天気を克服!
2007年の北海道の日本海側では、6月から7月の期間、まとまった降雨がなく、カラカラ天気が続いていました。
少雨の影響は、生育の遅れなど農作物にも出始めていました。畑に雨が降らないときに活躍するのが、畑地かんがいです。
キャベツのかんがい試験

キャベツのかん水試験区

スプリンクラーでのかん水状況

干ばつで小さいままのキャベツ元気がありません…

畑地かんがいで水分を補給したキャベツは元気です!

【無かん水区のキャベツ】
規格外で出荷できません。

【かん水区のキャベツ】
出荷できる大きさに育ちました!

右側がかん水したキャベツです。大きさの違いが明らかです!
リールマシンでの畑地かんがい(キャベツへのかん水)

トラクタで先端部を引き出します

ほ場の奥からゆっくりと巻き取られます

先端では、霧状の水が畑を潤します

水分補給されたキャベツは元気です

キャベツ畑に虹がでました

キャベツ生産者:鈴木さんの声(2007.7.27)
モデル事業で調査に協力していただいている鈴木さんにお話をうかがいました。
今年は記録的な干ばつです。既に1,400立米(m3)の水をかん水しました。毎日休まず、ブーム式のリールマシン(自走式スプリンクラー)が稼動しています。20ミリ相当の水をまいていますが、4日もすればすぐに乾いてしまい、かん水作業に追われています。
畑のなかで水がかからないところは収穫できるようなキャベツに育ちませんので、商品にはなりません。畑地かんがい施設によるかん水作業ができなければ、収穫は皆無だったと思います。
キャベツの作付は、ここの畑で7回目です。良いキャベツを採るための熟畑化のために、畑の土づくりもしています。
(鈴木さん、ご協力ありがとうございました。)
幌加内町の概要
幌加内町は、北海道空知支庁管内の最北端に位置し、東西に24㎞、南北に63㎞、南北に細長く狭隘な沢地で、稲作の北限地帯に位置します。
幌加内町は、水稲の転作作物としての「そば」の栽培が増加し、日本一の生産量を誇っています。
現在、国営かんぱい事業幌加内地区によって整備されたかんがい用水施設を利用して、畑作物生産のための水利用技術、作物栽培管理技術等を確立するために、畑地かんがい推進モデルほ場設置事業(北海道空知支庁)を実施しています。
水を利用した畑地農業の新展開 - 音江山地区
音江山地区の概要
石狩川中流左岸の音江山山麓では、小豆・馬鈴しょ・小麦などの畑作、キャベツ・はくさいなどの野菜作、りんご・さくらんぼなどの果樹園といった特徴的な営農が展開されています。地域の気象は内陸性のため畑作に適していますが、5月から7月の降水量は少なく、たびたび干ばつの被害を受けることもありました。また、丘陵台地に位置しており、地域内に設置された素堀の皿溜(小規模な個別のため池)が防除用水などの水源となっていることから、安定的な用水確保が難しい状況にありました。
音江山地区の受益地域である深川市に、畑地かんがい推進のためのモデルほ場を設置し(平成12年~16年)、実際の利用に役立つデータ収集のための調査を実施しました。
調査区域では、多様な作物が栽培されています。そのなかで、特に小麦、小豆、馬鈴しょ、ハクサイなどで高いかん水効果を確認することができました。また、モデル農家の皆さんも、畑地かんがいの必要性を実感されました。 現地で実施した土壌調査・土壌水分調査・収量調査(収量・品質)・気象調査などをもとに、地域の気象、土壌、作物、そして地域営農に適した、『かん水の手引き書』を作成しました。
水を利用した畑地農業の新展開 - 芦別北部地区
芦別北部地区の概要
芦別北部地区は丘陵地帯で、稲作を主体に畑作・野菜作・ハウス栽培が展開されており、そのなかでゆりね・豆類・かぼちゃ・馬鈴しょ・小麦など多種多様な作物が栽培されています。地域の気象は内陸性のため畑作に適していますが、5月から7月の降水量は少なく、地域の水源は素堀の皿溜(小規模な個別のため池)や地下水に依存していることから、特に干ばつ年の用水確保には多大な労力を要しています。
芦別北部地区の受益地域である芦別市新城町に、畑地かんがい推進のためのモデルほ場を設置し(平成11年~15年)、実際の利用に役立つデータ収集のための調査を実施しました。
具体的には、土壌水分が指標となる値でかん水を行う試験区を設定し、土壌調査・土壌水分調査・収量調査(収量・品質)・気象調査などを実施することで、地域に適したかん水資材・かんがい強度(かん水量)・かん水のタイミングを検討し、普及のための『かん水の手引き書』を作成しました。
調査結果では、ユリ(ユリ根・花ユリ)でかん水効果が実証され、モデル農家の皆さんも小麦、カボチャなどの作物に対しかん水の必要性を実感されました。
連続干天日数
畑地かんがいの必要性に関わる連続干天日の発生状況
連続干天日数とは、無降水の日が連続する日数のことです。
畑地かんがいの計画では、日雨量が5mm未満の場合には有効な雨量として扱いません。そのため、日雨量5mm未満の日を干天日としています。
連続干天日数が長くなると、作物生育に必要な土壌水分が減少していきます。一週間から10日以上になると、作物が吸収できる水分は減少して、光合成などの活動が低下してしまいます。
さらに、連続干天日数が長期間になると、最終的には枯れてしまいます。
畑地かんがいは、干天日が続いて雨が降らなくても、作物の生育が良好に保たれるように、かん水(散水)によって土壌の水分状態をコントロールします。
現在、北海道内では道営畑地かんがい推進モデルほ場設置事業が実施されています。
下の図は、5月から7月の3ヵ月間の降水量を合計したデータ(30年平均値)から作成された、等値線図です。3ヵ月間の合計降水量が、250mm前後となる地域で、畑地かんがい技術確立と普及のための調査が実施されています。

各地域の連続干天日数の発生状況を調べてみました。
下の図は、5月から8月までの期間で、「最大の連続干天日数」と「連続干天日が10日間以上」の発生回数をグラフ化したものです。毎年、10日以上の連続干天日数が発生しています。
年によっては、20~25日間程度の連続干天日があります。雄武町では40日を超える年もありました。
特に、このような年には、作物の安定生産のために畑地かんがいによる水分供給が重要になります。
幌加内南地区(幌加内町)

雄武地区(雄武町)

安平川地区(安平町)

高倉地区(音更町)

温根別地区(剣淵町)

神居地区(旭川市)

グラフ作成には、気象庁ホームページよりアメダスデータを引用しています。
畑地かんがい写真館
北海道の畑地かんがいの施設、かん水状況を写真で紹介します。
畑のパイプライン

ほ場内給水栓
この給水栓のバルブを開けると、ダムなどの水源施設から畑まで送られた水を使うことができます。

地上配管
給水栓から畑のなかで使用する散水施設までは、ホースや写真のようなパイプを接続します。口径は50~75ミリです。

リールマシン(自走式スプリンクラー)
写真は、自走式のスプリンクラーで、リールマシンと呼ばれています。給水栓、地上配管と接続して、かん水することができます。
かん水状況
赤井川村


ブロッコリー畑の畑地かんがい


ブルーベリー畑の畑地かんがい
安平町




大豆畑の畑地かんがい
芦別市

ゆり畑の畑地かんがい

小麦畑の畑地かんがい
芦別市

馬鈴しょ畑の畑地かんがい

てん菜畑の畑地かんがい

