深川市の気象経過と水稲の生育(2003年)
6月までは高温で推移、7月の極端な低温
・・・7月に入ってからの気温は、平年に比べ低温で経過しているため、農作物の冷害が心配されています。

 農水省では、低温・日照不足による水稲を中心とした農作物への被害が懸念される事から、「低温・日照不足対策本部」を10年ぶりに設置するなど、被害防止対策を本格化させました。北海道でも、空知支庁が「低温に関する営農技術特別指導チーム」をこちらも10年ぶりに設置したほか、石狩・渡島両支庁も同様のチームを設置しました。
 8月も低温が予想されているため、冷害の可能性もあるとして、水深を18pまで確保しイネを保温する深水管理などを農家に指導することを申し合わせました。また、深水管理を終えた後も地表面の水分を保つことが必要であるとしています。

 当財団では、深川市内の大区画水田で水温を測定しています。深川地域の今年の冷害危険期は7/4〜16とされています。この期間の水田内の平均水温は20℃、平均気温(アメダス深川地点)は17℃でした。この温度条件は、水稲の花粉形成にはやや低く、不稔籾を発生させる境目です。現段階では、不稔籾を多発させるレベルではないと推定されますが、今年の作柄は冷害危険期における水温・水深管理がポイントになります。


8月も低温で経過
 空知北部地域の8月の平均気温は、19.6℃(アメダス深川)で20℃に届かず、平年に比較しおよそ1℃低く経過しました。
 91半旬時点の生育進度は、乳熟〜黄熟、不稔歩合も1550%と大きくバラツいていますが、多くのほ場でやや不良〜不良程度の作柄で納まることが期待されます。東北及び北海道の太平洋岸で、かなりの冷害凶作が確実視されるなか、この作柄は大健闘といえます。また、食味の低下も僅かなはずです。
 しかし、7月の低温と日照不足の影響は不稔を多発させただけでなく、米粒の甲冑である籾殻の発育にも悪影響を与えており、運良く稔実した籾もそのサイズが小さいことが心配です。この結果、割れ籾が発生しやすく、この割れ目をカメムシの吸汁や雑菌の侵入攻撃が心配されます。これらの対策として、カメムシ防除と米粒の活性が失われない時期での早めの刈り取りが重要です。
 栽培技術・努力や生産環境のレベルは、好天の年には収量・品質に僅かしか影響しませんが、冷害年に明瞭に現れます。
2003年気温の経過グラフ 2003年気象の経過グラフ